趣味でアクアリウムをやる人にとって、外部フィルターのエーハイム2213は定番のアイテムだ。
でも、外部フィルターのメンテナンスでは色々トラブルが起こりがち。とくにエーハイム2213のメンテナンスの時には、ホースを口で吸うことで「水を飲んじゃった!」というトラブルも発生しやすい。そうならないためのやり方を解説する。
アクアリウム定番アイテムとなっているエーハイムクラシック2213。
グレーになって少しシックな印象になったエーハイム2213、「とりあえず、クラッシック2213選べば外さないから」みたいな風潮があるが、事実その通りだ。ただ、「呼び水」という作業があってこれを嫌がる人は結構多い。理由はやってみれば分かるんだけど、慣れないと水槽の水を口に入れちゃうというトラブルが起きやすいからなんだ。
使ったこと無い人も、是非ともご一読を。
呼び水専用のアイテム
ちゃんと呼び水用のアイテムは用意されている
外部フィルターの王様的地位を確立したエーハイム2133。
最近はお高くなっていて、そのせいか廉価版(50Hz版、60Hz版)もいる。
性能的にはクラシックシリーズの2213と同等のようなのだが、モーター機能などが簡素化されて50Hzと60Hzで製品が分けられているので注意が必要である。
基本的には500シリーズも扱いは同じなのだけれど、ここではクラシックシリーズを使う前提で話を書いていきたい。
で、外部フィルターに共通して言えることなんだけど、最初に使い始めるときに外部フィルターの内部に水を通すための儀式が必要なんだよね。これが「呼び水」って作業なんだ。
あと、外部フィルターを掃除したときなんかも、「呼び水」が必要になる。別名「さそい水」とも言うのだけれど、現代人は余り聞かない言葉かもしれない。
理科のお勉強の際に「サイフォンの原理」というのを習ったと思う。
簡単に言うと左側の図のような感じになり、「サイフォン」=「ホース」内部に水が満たされていれば、左のビーカーの水面の高さと右のビーカーの水面の高さが同じになるまで、左から右に水を汲み出し続ける。
エーハイム2213も運転にあたってこの原理を利用しているので、ホース内は水で満たされている必要があるというわけだ。
で、エーハイムの説明書には、どう書いてあるかというと……、ホースを「口ですって下さい」って書いてある。間違うと水槽の中の水を飲んじゃう!っという悲しい事件が(涙
そんな訳で、エーハイムとしてもこれ専用のアイテムを用意している。
えー!!スポイトのお化けのくせに2千円もするの!!と、驚くなかれ。
だって、間違って水を口に入れることを考えれば安いよ?
スターターを使わない呼び水のやりかた
とはいえ、これが付属品として付いてこない理由はちゃんとあって、「スタータ-」を使わなくても呼び水は作業は出来る。知っていればスターターを用意していなくても問題無いわけだ。
じゃあ、どうやってやれば良いの?って話になるんだけど、先ずは原理を理解しておこう。
ホースの中の空気が問題
クラシックシリーズに関わらず、「呼び水」という作業が必要なのには、上で説明した「サイフォンの原理」が関係している。
外部フィルターは、モーターで羽根を回して水を送ることで、水槽の内部の水の循環をしているが、最初やフィルタメンテナンス後には、ホースやフィルター内に水が無い状態で、その代わりに空気が詰まっている。そうすると、羽根は空回りしてしまって水が循環しないのだ。
だから、その内部の空気を追い出してやる作業が「呼び水」なのだ。
これ、取扱説明書の一部なのだけれど、日本の説明書ではまずお目にかかれないテイストのイラストだね(笑)
空気を追い出すには
さて、公式の説明書でも「口で吸え」と書かれているのだけれど、ちゃんと「スタータ-」にも言及されている。
しかしやっていることと言えば、口で吸って、或いはスタータ-で吸って、ホースの中の空気を追い出す、それだけのことだ。え?それ以外の方法があるの?といえば、ある。
ちなみに、ダブルタップというのはこんな感じのアイテムだ。
レバーが2箇所に用意されていて、両方のコックを横にして閉める。
で、真ん中にあるネジをくるくると回すことで分解できる。
これがホースの途中に用意されていれば、ホースを分離できるという何の事は無いアイテムだ。
でも、これがあると無いとではメンテナンス性に大きく違いが出る。
これを利用してフィルタのメンテナンスをしてやるのだ。
レバーを閉めた状態でホースの中の水を追い出せば、そのホースの中は空になる。ホースの中の水を如何に追い出してやるのかがポイントなんだな。
フィルタのメンテナンス
じゃあ、実際にメンテナンスしてみよう。
と、ここまでで1つ注意しておきたいのは、バケツの高さよりもフィルターの高さを高くして水抜き作業してやらないと、フィルターの中に水が残ってしまうことである。
家の床を水浸しにしたくなければ、フィルターの中に水を残さないように気をつけよう。
4. モーターヘッドとケーシングを外す
上手く作業が出来ていれば、ケーシングの中には殆ど水が残っていないハズなので、さっきとは別のバケツに用意した水の中で、フィルタの揉み洗いをしてあげよう。ケーシングの中にも結構汚れが溜まっている場合が多いので、こちらも掃除だ。
5.中を掃除したら、モーターヘッドとケーシングを元に戻す。
このケーシングとモーターヘッドを結合する作業の前には、ケーシングの中にフィルタを戻しているはずだ。その状態で、さっき水抜きした水をケーシングの中に満水になるまで入れておこう。ここで水を入れておくことが重要なポイントである。
6.しっかりと本体の結合が出来ていること確認して、続いて排水側のコックを閉じ、排水側のダブルタップを組み立てよう。
この時、給水側のホースは相変わらず水抜きバケツの中でコックを開いた状態にしておくことがポイントだ。
7.排水側のダブルタップがしっかり繋がっていることを確認して、コックを開き、本体のスイッチをON!
排水側のダブルタップを繋いだ状態では、水槽とエーハイム2133の位置関係は、水槽が上、エーハイム2213が下、ということになっているはずだ。ただし、排水側のホースの中には空気が溜まっていて、排水側のダブルタップを開いても直ぐには水槽から水が出てこない状況になっている。
この状態で、排水側のダブルタップを開くと、ホースの中での水の移動があるハズだ。ホースの中の水が下に落ちて、ケーシングの中は水で満たされる。よって、エーハイム2213本体のスイッチを入れると(コンセントを繋ぐだけだが)、中のインペラーが回って水槽の中から水を引っ張ろうとする。
そして、給水側のホースの先から水が出てくるハズだ。そのためのバケツである。
8. 排水側のダブルタップから水が出てくるので、慌てずにモーターを止めて排水側のダブルタップのコックを締める。
9. そして、排水側のダブルタップを組み立てる
10.全てのコックが開いていることを確認し、その上で、再び電源をON!
これで、呼び水せずに作業が完了することになる。
注意点
このやり方は、慣れればとても便利なのだけれど、ちょっと注意しておきたいこともある。
一番注意しておきたいのは、ダブルタップのコックを閉めたり開けたりする順番を間違えないことだ。
コックが閉まったままエーハイム2213を運転してしまうと、モーターに過負荷がかかるので、エーハイム2213を壊してしまうことに繋がりかねない。エーハイム2213を運転するときは、コックが開いていることを確認してから行う必要がある。
だが、誤った手順でコックを開けてエーハイム2213を運転すると、床が水浸しになるという被害を生み出してしまうことになる。要注意だね。
もう一つ注意しておきたいのが、7番目と8番目の手順で、給水側のホースをバケツに突っ込んだままコックを開き、エーハイム2213を運転するのだが、ここでバケツの中に水がいっぱい入っていると慌てることになる。ある程度余裕を持って作業できるようにしよう。
あとは、根本的な問題としてホースの中に水が残っていないと、このやり方は使えないってことくらいかな。
エーハイム2213のメンテナンスのメニューとしては、ホースの中の掃除とか、ホースの交換なんてこともやる必要がある。
そういう時には大人しくスタータ-を使った方が無難だよ。
サブフィルターの話
サブフィルターという商品
偶にこの記事に「サブフィルター」で検索されてこられる方がいるので、追記しておきたいと思う。
サブフィルターがどんなアイテムか?というとこんなアイテムである。
あれ?クラシックフィルターと同じなんじゃないの?と思う方、正解である。実際にこれを間違えて買われる悲劇的な事例を聞く事があるのだが、価格的にはクラシックシリーズに比べてサブフィルターは随分と安い印象があると思う。
実はこの方、モーターがないアイテムなのだ。
これは、サブフィルターの説明書なのだが、この様に外部フィルターやポンプと組み合わせて使うべきアイテムなのである。
サブフィルターのメリット
で、どんなアイテムかというと、クラシックシリーズの例えばエーハイム2213の前にサブフィルター2211を挟むという感じに使い、サブフィルターの中には濾材が組み込まれているので、メインフィルターに水を通す前にサブフィルターで水を綺麗にするというような使い方をするアイテムである。
つまり、サブフィルターで大まかにゴミをとって、メインフィルターでさらに濾過をするというような使い方になるんだよね。
したがって、メインフィルターの水を吸う側に取り付けるのが推奨される使われ方で、水を吐き出す側には付けない。メーカーはメインの後にサブを取り付けるやり方を禁止している。
間違って取り付けないように注意しよう。
メインの前で濾過するので、メインフィルターの清掃の頻度を落とせるというメリットが出来る。
ただ、サブフィルターの掃除が発生するので、掃除の手間が減るわけでは無い。
じゃあ、余りメリットが無いよね、という話になりそうなのだが、そうではないのである。メインフィルターを取り外すと、吐出側のホースの中の水が抜けるので、呼び水作業をする必要が出てくるのだが、サブフィルターの掃除だけなら呼び水は必要無いのだ。
デメリットもある
じゃあ、デメリットは無いのか?というと、ある。
何がデメリットか?といえば、設置スペースが余計に必要になることと、フィルタが増える事になるので、水流が弱くなることがデメリットである。
まあ、さほど気にすることはないデメリットかも知れないが、ホースが長くなることもデメリットに含まれるかな。何しろ、ホースは定期的に交換する必要があるからね。
追記
大したことでは無いのだが、リライトをしていたらちょっと気になったことがあって、追記しておきたい。
何かというと、エーハイム2213のAmazonの在庫が欠品していて、グレーになっていてビックリした。商品が刷新されたのか?と、思ったが、どうやらそうでもないようだ。
2019年、エーハイム社は創立70周年を迎えました。 創立70周年を記念して限定販売しておりました、フィルターケース、ホース、パイプ類などをグレーカラーに統一した クラシックフィルター(2213、2215、2217)につきまして、ご好評につき、数量限定にて再販売いたします。
「エーハイムサイト」より
えっと、創立70周年特別カラーと言うことらしいぞ。
……結構格好いいのは良い。でも、パイプからホースから何から何までグレーというのはちょっとやり過ぎなのでは?これ、廃盤になっちゃうと、またそれはそれで問題が出るような。
ちなみに、緑色のアイテムも相変わらず取り扱っているようだ。
そして、記事の途中で紹介した500シリーズもある。お値段は500シリーズの方がお安い。周波数に注意さえすれば、2213を買わずとも500シリーズをチョイスしても問題無いだろう。消費電力がクラシックシリーズよりちょいと上がっているのはモーターの性能に起因するのかもしれないが、その他はほぼ同じ。あ、濾材コンテナと呼ばれる部品がカットされているところは違うかな。
ただ、濾材コンテナも、濾材を網に入れて運用することを考えると必要性があるかどうかは悩ましい。価格が随分と違うから、十分選択肢となるだろう。
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