携帯電話会社が動き出したようだ。新総理になったガースーこと菅義偉氏の圧力はかなり強いらしいね。
ソフトバンク、携帯料金「真摯に検討」 大手3社が値下げ姿勢
2020年10月8日
ソフトバンクは7日、菅義偉首相が求める携帯電話料金の引き下げをめぐって「料金については真摯に検討する」との考えを示した。広報担当者が述べた。これにより、NTTドコモ、KDDIを含め、大手3社が値下げ検討の姿勢を示したことになる。
「ロイター」より
政治的なネタになるので、詳しくはこのブログで扱うネタにはしないんだけど、携帯電話の通信費に関してはお財布の中身にも大きく関わってくるだけに簡単に説明していきたい。引用したニュースではソフトバンクが値下げに積極的だよ、という事を説明している。
本丸はDocomo完全子会社化
でも、本丸のニュースはこちらだ。
NTT 4兆円余投じドコモ完全子会社化発表 競争力強化を
2020年9月29日 18時16分
NTTは、携帯電話事業を手がけるNTTドコモについて、4兆2500億円余りを投じてTOB=株式の公開買い付けを行い、完全子会社にすることを決めました。新しいサービスや次世代の通信規格に取り組むため、グループの意思決定を迅速化し、ドコモの競争力を強化することがねらいだとしています。
「NHKニュース」より
一見関係なさそうなニュースなのだけれど、NTTがドコモを完全に子会社化するという話が報じられている。
表向きは、「ドコモの強壮力の強化」なのだけれど、その実は法律的に手足を縛られているので、値下げ攻勢に対応出来ないという危機感からこの決断をしたのだろうと思う。
また、菅総理大臣が実現に強い意欲を示している携帯電話料金の値下げについて、澤田社長は「料金値下げをやるためにドコモを完全子会社にするわけではないが、ドコモが強くなれば、値下げの余力は出てくる」と述べました。
「NHKニュース”NTT 4兆円余投じドコモ完全子会社化発表 競争力強化を”」より
ちらりと本音が出ているが、「値下げの余力」というのがそのヒントなんだよね。
総務省との裏取引
別のニュースを見ていこう。
総務省「携帯値下げ、決断を」 ドコモ完全子会社化容認
2020/10/5 23:00 (2020/10/6 5:12更新)
9月29日、NTTがNTTドコモの完全子会社化を発表すると総務省内がざわついた。「何をやっているんだ」。幹部のもとにはOBから怒気をはらんだ電話がかかってきた。旧郵政省時代の伝統からすればNTTグループの再結集は反動に映る。
「日本経済新聞」より
NTTがドコモ完全子会社化すると、法律的(独占禁止法)に引っかかるという話があって、値下げには他社がやっている事の真似が出来ない為に色々制約があった。
NTTは国営企業だった電電公社から民営化されて成功した事例として認識されていて、総務省はここに強い圧力をかけて同業他社を圧迫しないようにという「指導」を続けてきた。
ただ、もはや固定電話の会社として存続する意味は薄くなり、分社化している意味も薄まった。その上で、携帯電話の料金値下げはガースーの目指してきた政策の1つだったから、ここで取引成立、ドコモ完全子会社化という流れになった。
NTTの本気
で、次にNTTが何をやったかというと、i-modeのサービス停止アナウンスである。
NTTドコモ、iモード公式サイトを2021年11月末で終了と発表
2020年10月8日 00時37分
NTTドコモは、iモード向けコンテンツであるiモード公式サイトの提供を2021年11月30日で終了すると発表しました。iモードのサービスは、2026年3月31日で終了する予定です。
「iPhone mania」より
事実としては、使われなくなったコンテンツであるiモード公式サイトの提供停止だけど、ドコモにとっては過去の栄光を示すサービスである。iモード公式サイトを維持するために少なくないお金を投入しているハズなので、単純に使われなくなったコンテンツを終了させるという意味はもちろんある。
でも、NTTにとっては過去との決別をドコモに促したという意味になるわけだ。FOMAも終わらせるようだね。不良採算部門の整理縮小して、スマートになるという事だろう。つまりNTTは「本気だよ」と言うことを見せたワケだ。
そうしたら焦りだしたのがソフトバンクとauで、追従せざるを得ない状況になっちゃった。
どこが先陣を切るかによって、この価格下げ競争がどうなるのか?という話が変わってくるだろうけれど、NTTが一発強力な値下げニュースを出せば、ソフトバンクとauは雪崩を打つようにそれを上回ろうとするはずだ。
これまではドコモが一番最後に値下げ追従という形だったけど、さて、どうなるやら。
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