暑い時期になり、子供達には「水筒を持っていけ」と口を酸っぱくして言う日々が続くのだけれど、じゃあ、水筒の中身は?というと、お茶を持たせている。
ただ、昔は結構スポーツドリンクを水筒に入れて持っていったなぁと。一時期、僕の周りで流行ったんだよね、何の影響かは知らないけれど。
とはいえ、これには「リスクもあるので、持って行かない方が良い」という人もいるんだな。本当なんだろうか?
科学的な知識に基づいて考えよう
水筒にスポーツドリンクを入れても大丈夫?
という訳で、調べながら疑問点を解消していくことにしよう。
1つ目の心配事は、「スポーツドリンクの成分に、塩分、糖分、等を含んでいるという事から、水筒の内側を腐食してしまうケースがあるのでは?」という心配である。
まあ、この辺りは杞憂ということで良いと思う。
そうだなー、例えば、スープを入れて持ち運ぶことの出来るスープジャーという商品があるんだけど、スポーツドリンクよりも塩分の強いスープを入れて持ち運ぶことを想定されている。
当然、腐食に関しては想定されていて、内側はステンレス製の内筒にさらにフッ素のコーティングを施してあるという。そもそもステンレスは腐食されにくい金属だが、更に長持ちするようにフッ素コーティングがしてあるので、食品に金属が溶け出してしまうリスクは低くなっている。
似たような処理は水筒にもされているようだね。例えば象印の最新の水筒だと、こんな感じのコーティングが施されている。
ラクリアコートというのはフッ素系のコーティングのようだね。
「スポーツドリンクを入れても大丈夫なように」という狙いらしい。
もちろん、水筒によってもその事情は異なるので、しっかり説明書を読んでからの使用を推奨したいのだが、基本的には多くの水筒が何らかのコーティングをしていることが増えているようだし、コーティングがなくてもステンレス自体が腐食されにくい性質を持っている。
食品グレードのステンレスを使ってあるものなら、まず大丈夫だ。
ただ、どんなメーカーか分からないような水筒は、錆びやすいステンレス(実際には加工性を優先させたので、耐食性が低いという意味だが)を使っている場合もあるようなので、ご注意を。
直飲みだと雑菌が繁殖しやすい?
もう1つの心配事が、「雑菌の繁殖について」だ。
我が家の水筒も直飲みタイプばかりで、コップタイプは殆ど無い。特に夏用の水筒は直飲みのタイプが多いのだが、糖分を含んだ液体を水筒の中に入れておくと、「雑菌が繁殖するんじゃないか?」と心配される方が結構多いようだ。
これに関しては、しっかり調査した論文があったので、リンクを貼っておく。
が、読むのが面倒な人のために要約を。
- 直飲みしなくても増える(水筒の洗浄が「水すすぎ程度」で不十分なケースでは、口を付けなくても顕著に増える。逆に、煮沸洗浄をした水筒でも口を付ける前に雑菌の繁殖が確認されている)
- 抗菌作用のある緑茶やウーロン茶などでは雑菌の繁殖を抑えることが出来る
- 低温保存で優位に雑菌の繁殖が抑えられる
この調査結果は飲料がお茶限定の話なので、もう1つ、ジュースならどうか?という点について紹介しているサイトのリンクを貼っておこう。
これは、宇都宮市のサイトなのだが、ペットボトルに口を付けて飲むけーすではどうか?という事を調査したものである。
これによると、ミルクコーヒーや麦茶は雑菌繁殖の一途を辿るが、オレンジジュース、スポーツ飲料、緑茶については、雑菌が殆ど増えないことが分かる。この原因として、緑茶には抗菌作用を示すカテキンが含まれることで、オレンジジュースとスポーツ飲料はpH3.5と酸性が高かったためであると結論されている。
なお、一番の雑菌繁殖をしたミルクコーヒーだが、口をつけて飲んだ直後の菌の数は1mLあたりおよそ1000個だったのに、48時間後には3億個と凄いことになっている。食中毒などの目安になるのが10の7乗個、つまり、一千万個ということなので確実にアウトである。しかし、グラフ通りであれば、24時間後まではギリギリ行けることになる(あくまで実験環境下での話だ)。
結論
というわけで、科学的な話を踏まえると、先ずは水筒の洗浄が極めて重要であるといえる。
水で濯ぐだけでOKという人、絶対ダメですよ-!
水筒の洗浄が大切
先ずは、水筒の内側の洗浄だけれど、基本的には中性洗剤をつかってブラシを使っての洗浄で良いと思うけれど、週に一度くらいはしっかり洗浄したい。
おなじみキッチンハイターか、この手の発泡洗浄剤を使うと便利だ。あ、塩素系の洗浄剤を使わないように注意して欲しい。食器の洗浄用に使う塩素系の洗浄剤は、金属を腐食しやすいからね。
きっちり分解してパッキンなども洗っておこう。
スポーツドリンクならその日のうちに飲みきろう
色々言う人がいるけれども、直飲みであってもスポーツドリンクならばさほど問題にならないことが多い。もちろん、雑菌は繁殖することはあるんだけど、それはペットボトルでも同じ条件だ。
しっかり洗浄している水筒であれば、その日のうちに飲みきるのならば雑菌の繁殖はさほど心配する必要はない。ミルクティーなどでも、6時間程度であればグラフで見るように問題になるレベルまで雑菌は繁殖しないのだ。
だが、注意したいのは、雑菌の繁殖は倍々で増えていく(等比級数的に増える)ので、初期に雑菌が少ないことがとても大切。だから洗浄はきっちりしておくべきだし、一度開封したあとのペットボトルから移すなどの行為も厳禁。
リスクの高さで言えば、スポーツドリンクよりもただの水の方が(水道水は塩素が含まれているので低リスク。ミネラルウォーターなどの方が寧ろリスクは高くなる)危険度は高い。
あとは、常温だと雑菌繁殖リスクが高くなるので、しっかり冷やして持っていくことかな。
水分の補給が何よりも大切
というわけで、水筒にスポーツドリンクを入れて持っていこうが、水を入れて持っていこうが、お茶を入れて持っていこうが、雑菌が繁殖してアブナイとか、そういった話はちょっと見当違いの心配だ。もし、悪くなってしまった経験があるとすれば、それは最初から水筒の中に雑菌がいたことを意味する。
心配するべきは、しっかり洗浄することと、その日のうちに飲みきること。しっかり冷やして持っていくこと。そして、悪くなっていない飲み物を入れることだ。抗菌作用があったり(緑茶などカテキンが含まれるもの)、酸性度の高い飲み物(クエン酸系のスポドリなど)ならば、なお良し。コーヒーなども腐敗しにくいとは言うけど、水分補給には向かないよね。
そして、脱水症状をおこさないようにこまめな水分補給である。ああ、汗をかいて塩分を補給する必要があるのであれば、寧ろ塩タブレットみたいなアイテムを併用すると良いだろう。
コメント